ドイツ、初めてPK戦に敗れる
ドイツはこれまで、ワールドカップでPK戦に敗れたことが一度もなかった。過去は勝ってきた側で、12ヤードからの決着になれば強い、というのが長く共有されてきたイメージだった。その記録が、この日消えた。ボストン近郊フォックスボロで、パラグアイのフリオ・エンシソが前半42分、マティアス・ガラルサのクロスをヘディングで押し込んで先制する。後半、カイ・ハベルツがフロリアン・ヴィルツの折り返しをヘッドで合わせて同点に追いつくが、延長でヨナタン・タが決めたゴールは、GKへのファウルを取られてVARで取り消された。1-1のままPK戦に入る。
そのPK戦がドイツの弱さを映した。1人目のハベルツが外し、ニック・ヴォルテマデ、タも続けて失敗する。パラグアイのGKオルランド・ヒルが2本を止め、最後はホセ・カナレが決めて4-3。12ヤードからは外さないと見なされてきた四度の優勝国が、32強で去った。2018年、2022年と1次リーグで消えたドイツにとって、勝ち上がってからの敗退は本来なら前進だったはずだが、その一歩目でつまずいた形になる。今大会がここまでに出したなかでも、最大級の番狂わせだ。
日本が引き分けたオランダも、PK戦で沈んだ
その数時間後、モンテレイでオランダは16強まであと1分に迫っていた。後半にコディ・ガクポが先制していたが、終了間際にイサ・ディオプがヘッドで同点に追いつき、96分にはスフィアン・ラヒミの決定機をGKバルト・フェルブルッヘンが止めてしのいだ。それでもPK戦にもつれると、モロッコのGKヤシン・ブヌがクリセンシオ・サマービルの一本を止め、イスマエル・サイビが勝ち越しを決める。3-2でモロッコが振り切った。ブヌは2022年カタール大会でもスペイン戦のPK戦を止めて8強へ導いた守護神で、この舞台での勝負強さを再び見せた。
日本の読者にとって、オランダは遠い名前ではない。6月14日、ダラスで、日本は二度追いつく展開から2-2で引き分けている。オランダはフィルジル・ファンダイクとサマービルが決め、日本は中村と、89分の鎌田大地が返した。開幕から真っ向で渡り合った相手も、日本と同じ32強の壁を越えられなかった。
主役は、番狂わせを起こした側に移る
勝ち残ったのはパラグアイとモロッコだ。2022年に準決勝へ進み、アフリカ勢・アラブ勢として初めてその舞台に立ったモロッコは、日本時間7月5日、決勝トーナメント1回戦で共催国カナダと当たる。ドイツを倒したパラグアイは、同じ7月5日にフランスと対戦する。パラグアイが決勝トーナメントに進むのは、8強入りした2010年南アフリカ大会以来で、長く本大会から遠ざかっていたチームの久々の勝ち上がりでもある。優勝候補が集まると見られていた側の山から、ドイツとオランダが同時に抜け落ち、代わりに伏兵が2つの椅子を埋めた。6月30日に追う相手を失い、次にどこを見るか探している人にとって、この2試合は、本来ここにいるはずのなかった顔ぶれの戦いだ。
関連リンク
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