前半22分、笛が鳴る
前半22分、そして後半67分あたりで試合が止まる。屋根があってもなくても、気温が高かろうと低かろうと、今大会は全104試合に各ハーフ一度ずつ、FIFAが昨年12月に導入した3分間の給水ブレイクが必ず入る。表向きは選手を暑さから守るためのものだ。だが大会が進むにつれ、止まった3分で得をしているのは選手だけではない、という声が複数の立場から上がっている。
なぜ3分止めるのか
理由はまず北米の夏の暑さにある。気候科学者のネットワークWorld Weather Attributionの試算では、104試合のうち26試合が暑熱指標WBGTで26℃以上に達する可能性があり、5試合は28℃以上になりうるとアルジャジーラは伝えた。選手組合FIFPROはWBGT26℃で給水休止、28℃で延期を勧告しているが、FIFAが延期を検討する基準は32℃とより高い。一律導入の引き金になったのは、危険な暑さに見舞われた昨夏のクラブW杯だった。今大会ではまだ暑さで止まった試合はなく、FIFAは一部のキックオフを暑い午後の時間帯から後ろへずらして対応している。
放送局に開いた3分
止まる3分は、放送局にとっても価値がある。米調査会社S&Pグローバルのアナリスト、マイケル・ジョンソンはロイターに、104試合で生まれるこの停止は「スーパーボウル級」で1回あたり700万〜900万ドルの広告価値を持ちうると述べた(ESPN経由)。元イングランド代表のゲーリー・ネビルはこれを「ステルス広告」と呼び、米FOXが給水ブレイク中にCMを流していると指摘した。オランダ代表主将ファン・ダイクも「商業化が入り込む」と懸念を口にしている。ESPNは、FIFAの大会責任者マノロ・スビリアがこのルールを発表した場が、組み合わせ抽選に合わせてワシントンで開かれた放送事業者向けの会合だったことも指摘している。一方で、米スペイン語放送のTelemundoと英ITVは、この3分に広告を入れない選択をした。同じルールでも、放送局ごとに扱いは割れている。
試合は「4クォーター」へ
3つ目の影響は試合そのものに出ている。ESPNの集計では、グループステージで前半に決まった22得点のうち12点が最初の給水ブレイク後、後半24得点のうち12点が2度目のブレイク後に生まれた。米女子代表監督のエマ・ヘイズはこれを「momentum break(流れを断つ休憩)」と呼ぶ。上にいるチームは欲しがらず、追う側が欲しがる、と。フランスのデシャン監督は「2つのハーフではなく、4つのクォーターだ」と言い、準備段階から織り込んでいると話した。日本にも接点がある。オランダと2-2で引き分けた試合で、日本の同点弾も後半の給水ブレイク後に生まれた、とESPNは分析している。
48チーム、グループステージだけで観客463万人という史上最大規模の大会(FIFA)は、ここから7月の最も暑い時期に、負ければ終わりのノックアウトへ入る。給水ブレイクは残る全試合でも各ハーフ2回、3分ずつ続く。
関連リンク
大会形式、日程、会場などを詳しく見たい方向けのリンクです。



