90分を過ぎて、ベンチから決まった
最初の1時間、苦しんでいたのはドイツの方だった。フランク・ケシエにコートジボワールが先制し、無敗で楽勝も期待されていたユリアン・ナーゲルスマンのチームは、規律あるアフリカ勢を崩せなかった。流れが変わったのは後半開始すぐ、ナーゲルスマンが一度に3人を代えた60分からだ。その8分後、デニス・ウンダフがナディーム・アミリのクロスをボレーで合わせて同点。さらに引き分けが濃厚になった90+4分、ウンダフはフェリックス・ンメチャのパスを受け、低い弾道で流し込んで2-1とした。内容は良くなかった。それでもドイツは勝ち、突破を決めた。
ドイツの「締め役」
ウンダフは第1戦も第2戦も先発していない。それでも両方を動かした。初戦、W杯初出場のキュラソーに7-1で勝った試合でも、彼は途中出場から1得点1アシスト。コートジボワール戦では交代出場から2得点。これでシュトゥットガルトの9番は、今大会の途中出場で3得点2アシストになった。Optaは、これを1966年以降の単一大会における交代選手の得点関与として最多と記録した。並ぶのは1990年イタリア大会のカメルーン、ロジェ・ミラだけだ。ブンデスリーガを細かく追っていない読者向けに言えば話は単純で、ドイツには今、ベンチから出てきて試合を決めるのが仕事の前線の選手がいて、ここまで実際に決めている。
ナーゲルスマンの采配を、ドイツ紙はこう読んだ
ドイツ国内の報道は、スコアよりも、それを生んだ交代に焦点を当てた。kicker は翌日のプレス各紙の論調を「再びあるべき場所へ」という見出しの下にまとめた。試合記事はそろって、ナーゲルスマンの60分の3枚替えを勝因と位置づけ、投入された選手たちのインパクトを評価している。ナーゲルスマン自身は、決勝点を演出したンメチャを名指しし、試合を決めるのに必要なものをすべて備えていると語った。キュラソー戦のあと、監督は自信を積み上げるために説得力のある内容が要ると話していた。コートジボワール戦では、その自信が終盤に、しかもベンチから供給された形になった。ドイツはこれで10連勝である。
この一勝が大会の中で持つ位置
ドイツは決勝トーナメント進出を決めた3番目のチームだ。先に決めたのは開催国2か国で、6月18日に韓国を下したメキシコ、その翌日にオーストラリアを破ったアメリカが続いていた。48チーム制ではノックアウトがラウンド32から始まり、早い段階での突破決定は、どの国が抜け出しつつあるかを読む最初の手がかりになる。早々に有利な位置を固めつつある優勝候補のなかには、日本と同じグループFのオランダもいる。むしろ未確定なのはドイツ自身の足元の方だ。突破を懐に入れたナーゲルスマンが、最終戦でウンダフを先発に回すのか、それとも試合を締めに送り出す切り札として温存し続けるのか――そこはまだ決まっていない。
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