0-0が決めた歴史
サウジアラビアとの0-0に終了の笛が鳴った瞬間、人口およそ50万人の島国カーボベルデが、初出場のW杯で決勝トーナメント進出を決めた。出場48か国を人口で並べると47番目という小国である。グループHはスペインに次ぐ2位。3試合の内訳は、スペインと0-0、ウルグアイと2-2、サウジアラビアと0-0。3引き分けで勝点3、過去に2度の世界王者を含む組で、一度も負けなかった。
ブルーシャークスと、守り抜いた男たち
愛称は「トゥバローエス・アズーイス(青いサメ)」。選手の多くはポルトガルやヨーロッパでプレーしている。指揮官は元代表でブビスタの愛称で知られるペドロ・ブリト監督。2020年からチームを率い、初のW杯に導いた。グループステージを象徴したのは2人だ。GKのボジーニャ(本名ジョジマール・ディアス)は25歳でようやくプロになった40歳。初戦でスペイン相手に7本のセーブを見せ、無失点に抑えた。主将のライアン・メンデスは36歳のウインガーで、出場94試合・22得点はいずれも代表歴代最多。前線にスピードをもたらし、中盤ではジャミロ・モンテイロが汗をかいた。カーボベルデはアフリカでは新興勢力で、アフリカ・ネーションズカップでは2013年と2023年に8強まで進んだ実績を持つ。代表にはポルトガル系の出自を持つ選手が多く、リスボンや欧州各地のクラブで腕を磨いてきた。
ウルグアイを慌てさせた夜
3試合で最も激しかったのがウルグアイ戦だ。21分、ケビン・ピナの直接フリーキックが壁を越え、虚を突かれたフェルナンド・ムスレラのゴールに吸い込まれた。カーボベルデにとってW杯初ゴールだった。2度の世界王者ウルグアイは前半のうちにマキシ・アラウホとアグスティン・カノビオで逆転する。それでもカーボベルデは崩れなかった。ブビスタ監督は後半開始から4-4-2を4-3-3に変え、エリオ・バレラを投入。そのバレラが61分に2-2に追いついた。1勝もできなかったウルグアイは最終節でスペインに敗れて姿を消し、その結果がカーボベルデをアルゼンチンとの一戦へ押し出した。
48チーム制が掲げた狙い
FIFAがW杯を48か国に拡大したとき、根拠とされたのは「ここまで来られなかった国にも本物の舞台を」という理屈だった。カーボベルデはその理屈を体現している。多くの都市より人口の少ない国が、初出場でスペインとウルグアイに無敗のまま16強まで来た。サウジアラビアとウルグアイは去り、島国は残っている。
次はアルゼンチン、舞台はマイアミ
カーボベルデが手にしたのは、組み合わせとしては最も厳しい相手だった。次戦の相手は世界王者アルゼンチン。リオネル・メッシがいる。カーボベルデはここまで3試合でわずか2失点と粘り強く守ってきた。ボジーニャの好守と、数少ない好機を確実に生かすカウンターで、スペインとウルグアイを最後まで苦しめた相手だ。両者は7月3日、マイアミのハードロック・スタジアムで対戦する。
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