ドイツは「移籍金」を払って引き抜いた
クロップは2024年夏にリバプールを去って以来、チームを指揮していなかった。この1年はレッドブルの「グローバル・サッカー統括」として、飲料会社傘下のクラブ群を束ねるフロントの職にあった。そこから彼を引き出すのは簡単ではなかった。発表前後に伝えられた条件によると、DFBはレッドブルの脊髄研究財団「Wings for Life」へ100万ユーロを寄付し、さらに2030年までにレッドブルの拠点都市ライプツィヒで代表戦を3試合開催すると約束した。つまりドイツはフリーの人材を獲得したのではなく、解放を交渉し、その対価をカネと試合という形で支払った。
契約は4年後の2030年W杯まで。この長さ自体がメッセージで、暫定ではなく再建を託す就任だということだ。
何を引き継ぐのか
クロップが引き継ぐのは、ユリアン・ナーゲルスマンが空けた席だ。ナーゲルスマンは、今大会でドイツがベスト32でパラグアイにPK負けして敗退した後、自ら退いた。過去4度の優勝国にとっては早すぎる痛い敗退で、これが監督交代の引き金になった。クロップ自身はドイツ人指揮官で、マインツからドルトムントでブンデスリーガを2度制し、リバプールでは2019年にチャンピオンズリーグ、2020年に30年ぶりのリーグ優勝をもたらした実績を持つ。代表を率いるのは初めてだが、再建を任せる相手としての説得力は十分だ。クロップの初戦は9月24日のオランダとの親善試合。奇しくも、ともにベスト32で姿を消した2チームの顔合わせになる。
フランスは7月28日に新監督を発表する
ドイツの人事は単独で起きているわけではない。7月28日(火)11時(中央欧州時間)、フランスサッカー連盟(FFF)とフィリップ・ディアロ会長が、ディディエ・デシャンの後任を正式に発表する。デシャンは、準決勝でスペインに、3位決定戦でイングランドに敗れて4位に終わった大会のあと、代表を離れた。2012年から14年にわたって指揮し、2018年にW杯優勝、2022年に決勝進出を果たした長期政権の終わりだった。フランスと国際メディアは数週間前から、2021年にレアル・マドリードを去って以来職に就いていないジダンを、ほぼ確定の選択肢として扱ってきた。ジダンはレアルで2016年から3年連続のチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げた監督で、代表指揮は未経験ながらフランス国内の待望論は根強い。ただし連盟が28日に発表するまでは正式ではない。この区別は重要だ。今日時点でフランスの監督人事は「報道されている就任」であり、ドイツは「署名済みの就任」である。
2030年に向けた読み方
大物の名前を外して見れば、構図は単純だ。負けて終わったW杯がいくつものベンチを空け——ナーゲルスマンとデシャンは自ら退き、他は解任され——次の4年サイクルの開幕に合わせて、その席が世界屈指の指揮官たちで埋まっていく。そのサイクルは、森保一監督の続投で日本が入ったのと同じサイクルだ。日本の読者にとって有用なのは、話題性そのものより日程のほうだ。2つの伝統国が2030年のプロジェクトをクロップと、ほぼ確実にジダンに託し、両者とも早ければ9月下旬にはベンチに立つ。再建は2029年ではなく、いま始まる。
関連リンク
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- Klopp confirmed as Germany coach on deal until 2030Yahoo Sports
- Germany hire Jurgen Klopp for rebuild to 2030 World CupInside World Football
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