ハーランドは今大会、重圧をずっと相手に押し付けてきた。グループ最終節のフランス戦の前には、負けても「あまり気にしていない」と言い放ち、実際ベンチスタートのままフランスに1-4で敗れた。それでもノルウェーはコートジボワールを2-1で下し、16強では5度の優勝を誇るブラジルを2-1で撃破した。ブラジル戦ではハーランドが2得点。ノルウェーは初めて準々決勝に進んだ。
ノルウェーにとっては1998年以来、28年ぶりのW杯だ。人口500万人あまりの国の快進撃を、25歳のハーランドが引っ張っている。W杯出場は今回が初めてで、7得点を挙げて得点王争い(ゴールデンブーツ)では3位。前を走るのはリオネル・メッシとキリアン・ムバッペだけだ。ピッチの外でも、会見での飄々とした受け答えや自撮りの投稿で、今大会いちばん顔の知られた選手になった。そしてピッチの上では、格上を倒し続ける理由そのものになっている。
イングランド戦は、彼にとって母国との対戦でもある。ハーランドはイングランドのリーズで生まれ、マンチェスター・シティでプレーする。「特別な試合だよ、間違いなく」と本人も言う。イングランドのファンは謙虚でいるべきか、と問われると「みんな謙虚でいるべきだと思う」と返し、そのうえで「イングランドは勝ち上がりに自信を持っていいはずだ。イングランドだからね」と付け加えた。重圧は全部そちらにあるのか、とはっきり聞かれると、彼は短く「ああ、間違いなく」と答えた。
トーマス・トゥヘル率いるイングランドは優勝候補であり、その裏づけとなる選手層もある。グループを首位で通過し、コンゴ民主共和国戦は逆転で勝ち、16強では開催国メキシコをアステカ・スタジアムで3-2と退けて、3大会連続の8強に入った。ハリー・ケインとジュード・ベリンガムの2人で、チームの11得点のうち10点を挙げている。ただ守備は5試合で無失点が2試合だけと不安を抱え、しかも人が足りない。ジャレル・クアンサはメキシコ戦の退場で出場停止、ジョーダン・ヘンダーソンは手首の骨折で今大会絶望、マーク・グエイとリース・ジェームズは負傷で出場が不透明だ。この守備陣が、ハーランドを抑え込まなければならない。
予想モデルOptaは、90分でイングランドが勝つ確率を50.4%、ノルウェーを25.1%とみる。延長にもつれる可能性も4分の1近い。両国はW杯で一度も対戦がなく、過去12回の対戦はイングランドの7勝、ノルウェーの2勝。勝者はフランスと反対側の山に入り、7月15日にアトランタでアルゼンチンかスイスと準決勝を戦う。
ノルウェーの主将マルティン・エデゴールは、チームがこの大会ずっと通してきた言い方でこう語った。「ブラジル戦だって、僕らは格下だった」。キックオフは日本時間7月12日午前6時、ミアミのハードロック・スタジアム。この試合が答えるのは、人手を欠くイングランドの綻びやすい守備が、ブラジルにできなかったこと、つまりハーランドを黙らせられるのかどうかだ。
関連リンク
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