練習場に、その姿はなかった
6月17日、モンテレイ郊外で日本代表がチュニジア戦へ向けた最初の全体練習を始めたとき、その輪に久保建英はいなかった。久保はホテルでトレーナーと過ごしていた。オランダ戦のあとに受けたMRI検査の結果が出ていた。左膝の負傷である。
日本サッカー協会の説明は淡々としていた。チームドクターが検査結果を確認し、オランダ戦で負った左膝の負傷が認められた、この日はホテルでトレーナーと過ごす、早期復帰へ向けて治療とリハビリを続ける――。チームを離れることはない。診断名も全治も公表されなかった(中日スポーツ)。残ったのは「離脱はしない」の一語だ。ただ、6月21日(日本時間)のチュニジア戦に間に合うかは別の話で、複数の媒体は出場を「絶望的」と報じている(デイリースポーツ)。
現地入りした日本の記者たちが書いているのは、「久保はどれだけ悪いのか」よりも「久保がいないなら、右シャドーに誰を置くのか」だ。関心が負傷の重さから先発の人選へ移っているのは、チュニジア戦の位置づけがはっきりしているからでもある。
勝ち点0の相手、日本の分かれ目
第1節を終えたグループFは、スウェーデンが勝ち点3、日本とオランダが1、チュニジアが0。日本が2位にいるのはフェアプレーポイントの差で、オランダが日本戦でイエロー3枚を受けたのに対し、日本は警告0だった(ゲキサカ、Goal)。
そのチュニジアは初戦でスウェーデンに1-5と大敗し、試合後にサブリ・ラムーシ監督を解任、日本戦の数日前にエルヴェ・ルナールを新監督に据えた(The New Arab)。勝ち点0で最下位、指揮官は就任4日。日本にとっては、突破へ向けて現実的に勝ち点3を狙える一戦だ。だからこそ、誰でどう勝ち切るかが問われる。
伊東か、鈴木唯人か、それとも
現地取材は、右シャドーの選択肢を三つ挙げている(サッカーダイジェスト)。
順当なのは伊東純也だ。オランダ戦でも66分から右に入り、停滞しかけた攻撃を動かした。早い時間に試合を決めて主力を休ませたいなら、最初から送り出す手はある。
一方、伊東を切り札としてベンチに残したいなら、鈴木唯人の名が挙がる。5月上旬に右鎖骨を骨折しながら「本大会には間に合う」と判断されてメンバー入りし、6月7日と15日の非公開のU-19戦に出場した。本人は「徐々に上がってきている。(オランダ戦も)ずっと準備はしていた」と話す。
三つ目は、好調の菅原由勢を右ウイングバックに置き、オランダ戦でそこを務めた堂安律をシャドーへ上げる組み替えだ。
森保一監督は人選を明かしていない。
これは一人の負傷ではない
久保の一件を「気がかりがひとつ増えた」で片づけにくいのは、今大会の日本がすでに攻撃と中盤の軸を何人も欠いているからだ。三笘薫は5月に左太もも裏を痛めてメンバーから外れ、南野拓実も負傷で選から漏れた。主将の遠藤航は2月に痛めた左足の状態が戻らず、開幕直前の6月11日に離脱と代表引退を表明し、町野修斗が追加招集された(時事通信)。
オランダ戦で勝ち点1を拾ったのは、ベンチの厚みだった。89分、小川航基のヘディングが鎌田大地に当たって入った、日本のW杯史上最も遅い時間帯のゴール。あの「途中から出て試合を動かす」役割の何人かが、チュニジア戦では先発の計算に入る。上田綺世も17日は疲労を考慮して別メニューで調整していた(中日スポーツ)。
勝てる相手だからこそ、誰を先発させ、誰を後半の切り札に残すか。その配分を森保監督がどう決めるのか、最初に分かるのは21日の昼(日本時間13時、モンテレイ)だ。
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