26WorldCup 2026北中米W杯 · 全記録
/
ニュースへ戻る
ニュース

FIFA、W杯の商業権を売る新会社案に各大陸が反発 UEFAはボイコットも検討

FIFAは7月28日、W杯などの商業・大会運営部門を評価額200億ドルの新会社に切り出し、外部の投資家に最大20%の少数株を売る案を発表した。これで最大42億ドルを集め、サッカーの普及・育成に充てるという。だが発表から1日のうちに、世界サッカーの主要4団体――UEFA(欧州)、CONCACAF(北中米カリブ)、AFC(アジア)、イングランドFA――がそろって反対を表明し、UEFAはボイコットの検討にまで踏み込んだ。ここで押さえておきたいのは、これが決定ではなく提案だということだ。実現にはFIFA加盟211協会の過半数と、37人で構成する評議会の承認がいる。

2026年7月29日 19:59約3分で読めるコメント可
シェア

FIFAが実際に発表したこと

この件は、一部の速い見出しが言うような「FIFAがW杯を売る」話ではない。FIFAが作るのは「FIFA Forward Enterprise(FFE)」という子会社で、放映権・スポンサー・チケッティング・ライセンスといった商業権と、大会の運営実務をここにまとめる。外部の投資家には、この子会社の最大20%の株を売る。子会社の評価額は約200億ドルで、これにより最大42億ドルを集めるという。FIFAは、支配権と競技・統治・スポーツ上の全決定に対する「排他的な権限」は自らが握り続けると強調する。投資家が持つのはあくまで子会社の少数・非支配の株であって、「FIFAそのものへの出資ではない。FIFAにとって変わるものは何もない」というのが同団体の説明だ。

その資金は育成・普及に充てるとFIFAは言う。新設する「FIFA Fast Forward Program」で、加盟211協会それぞれが受け取る額を、現行の2027〜30年サイクルの800万ドルから、次のサイクルで2000万ドルへ、以後2200万ドル、2400万ドル(2038年まで)へと引き上げる。加えて、インフラ・指導者育成・草の根・女子サッカー向けに一括2000万ドルの任意枠も設けるという。FIFAはJ.P.モルガンと組む。報じられている投資家には、今年ジョシュア・クシュナー氏が立ち上げた投資会社スライブ・エターナルが含まれる。ジョシュア氏は、トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏の弟にあたる。スライブ・キャピタルはコメントを控えた。

なぜこれほど早く反発が広がったのか

案の概要が加盟各協会に共有されたのは、決勝前日の7月18日、マンハッタンでのことだった。それが1週間後に公になると、反応は速く、その多くは「手続き」に向けられた。55協会を束ねるUEFA(欧州)は、この案は「サッカーの統治機関が決して越えてはならない一線を越えている」とし、「サッカーの魂と統治は取引の対象ではない。とりわけ、誰が金銭的に得をするのかが一切不透明なままでは。これはFIFAが売れるものではない」と声明を出した。CONCACAF(北中米カリブ)は「正当な手続きの欠如を深く懸念する」とし、統治機関との議論の前に発表された点を問題にした。会長のデビー・ヒューイット氏がFIFA副会長を務めるイングランドFAも、ほぼ同じ趣旨で懸念を示した。

日本の読者にとって最も直接つながるのは、アジアの反応だ。日本サッカー協会(JFA)を含む46協会が加盟するAFC(アジアサッカー連盟)――つまり日本の所属連盟――は、相談を受けていなかったとし、「これほど重大な事案が、正規かつ確立された統治のルートを通る前に公の場に出たことに失望している」と表明した。日本は、この案を最終的に承認するかどうかを投票する211協会の一つであり、育成資金の増額が机の上に載っている協会の一つでもある。

その周りにある政治

最も声の大きい批判には、政治的な色がついていた。かつて汚職疑惑に長く付きまとわれた前FIFA会長のゼップ・ブラッター氏は、FIFA会長と米大統領の近さが「サッカーを深く傷つける金銭的な次元にまで達した」と述べ、「誰にも我々の競技を売る権利はない」と続けた。米下院司法委員会の民主党議員団は、この案を「オリガルヒ的な腐敗」の一例だと非難した。今月就任した英国のアンディ・バーナム首相は「W杯は商品ではない」「もともと誰かが売れるものではなかった」と書いた。これらはあくまで批判側の見方であって、確定した事実ではない。FIFA側の言い分は、この夏に記録的な120億ドルの収入を生んだ大会には、サッカー全体の利益のために広げるべき商業的価値がある、というものだ。

この争いは、もともと張り詰めていた関係の上に重なっている。UEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長は、懲戒手続きや試合運営――退場者への自動的な1試合出場停止をFIFAが停止した件を含む――をめぐる対立から、W杯決勝を欠席した。来年にFIFA会長の再選を控えるインファンティノ氏は、トランプ氏との近さをUEFAから繰り返し批判されてきた。

次に何が起きるか

まだ何も決まっていない。UEFAは今週、加盟各協会と会合を開いて対応を検討するとみられ、選択肢には、2027年女子W杯やクラブW杯など今後のFIFA大会をボイコットする案も含まれると報じられている。FFEが前に進むには、FIFAは211協会の過半数と37人の評議会の承認を得なければならない。その投票が終わるまで、W杯の商業的な将来は、机の上に載った提案であって、成立した取引ではない。

関連リンク

大会形式、日程、会場などを詳しく見たい方向けのリンクです。

シェア
Chant をフォロー

日本人選手の試合、現地評価、移籍の新着をタイムラインで受け取れます。

特集 — 物語で入るワールドカップ
注目記事と特集を開けます
コメント

楽しくサッカーを語る

公開前確認あり

投稿にはGoogleログインが必要です。サイト側ではメールアドレスや実名を保存せず、コメント欄ごとの匿名サポーターIDだけを表示します。コメントは公開前に内容を確認します。

コメント、いいね、イエローカードにはGoogleログインが必要です。
0/600
まだコメントはありません。