3クラブ、価格は合意に近い
W杯後、スタッド・ランスの中村敬斗にエバートン、ボーンマス、フラムのプレミア3クラブが関心を示していると、英BBCが報じた。同じ報道によると、ランスは適切な移籍金であれば中村の退団を認める合意があり、その額は約2150万ポンド、日本円でおよそ46億円と伝えられている。この数字は争奪戦の末に吊り上がったものではない。ランスは昨季、フランス1部への昇格を逃した。2部での2年目に入ろうとするクラブには、売れる戦力を抱え込むより現金化する理由も、その意思もある。あらかじめ提示された放出価格は、その事情の裏返しでもある。
なぜ2部のウインガーにプレミアが電話をかけるのか
中村は25歳。昨季はフランス2部でプレーし、ランスでリーグ14得点を挙げた。数字は立派だが、それだけでプレミアが動くことは普通はない。評価を押し上げたのはW杯だ。三笘薫が負傷で離脱すると、中村が左ウイングのポジションをつかんで離さなかった。4試合でオランダ戦(2-2)に得点し、チュニジア戦(4-0)ではアシストを記録。データ会社Optaが選ぶグループステージのベストイレブンにも名を連ねた。プレミアのクラブが反応しているのは、2部での数字ではなく、大舞台での4試合の中身である。そしてこれは中村ひとりの話でもない。上田綺世にもプレミアからの関心が伝えられており、この夏、日本のアタッカーはイングランドの買い手が実際に動く市場になっている。
関心はあるが、順番待ちだ
問い合わせは本物だが、まだ初期段階にある。エバートンとボーンマスは中村の代理人に接触したものの、いずれもオファーを出すには先に自軍のアタッカーを放出する必要があると報じられている。つまり2クラブの関心は、自分たちの売却が済むまで前に進めない状態だ。新監督にアルバロ・アルベロアの就任が有力視されるフラムも中村を追い、代替候補としてトルコのガラタサライの名も挙がる。中村自身はイングランド行きを望んでいると伝えられ、決着の場所はある程度絞られている。
ここにあるのは価格のにらみ合いではなく、はっきりした一つの詰まりだ。金額はおおむね折り合い、選手も動く意思がある。遅らせているのは買い手側の事情で、エバートンやボーンマスが人件費とスカッドの枠を空け、問い合わせを正式なオファーに変えられるかどうかにかかっている。
何が決め手になるか
いま具体的な焦点は、ランス側ではなく買い手の売却のほうにある。エバートンもボーンマスも、オファーが財政的に成り立つには最低ひとりアタッカーを動かす必要がある。夏の移籍市場は放出を早くまとめたクラブに有利で、この順番待ちが長引くほど、別の競合やフラムの本格参戦が絵図を変える余地は広がる。中村がイングランド行きを望んでいるとされる点は、決着の向きをガラタサライよりプレミアに寄せている。ただ、志向と価格だけで移籍は完了しない。関心を示すクラブのどれかが枠を空け、ランスに具体的な金額を出すまで交渉は動かない。7月16日時点で、その金額を提示したクラブはない。
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