短期契約の裏にある数字
日本サッカー協会が森保一監督に示した続投は、来年1月のサウジアラビアでのアジアカップで区切られ、2027年3月から新監督に引き継ぐ——ここまでは既に報じられ、7月23日の理事会にかけられる方針だ。その後にはっきりしてきたのは、なぜこの契約がこれほど短いのか、という理由のほうである。日刊ゲンダイやSmartFLASHの報道は、そこを率直に書いている。協会は2026年度に約31億円の赤字を計上した。2022年度の約49億円に続く赤字で、これまでは自前のビル『JFAハウス』の売却益を取り崩して穴を埋めてきたという。この帳簿では、外国人監督とスタッフを新たに雇う判断は難しい。現体制をもう一つの大会だけ続けるのが、財政的にはいちばん無理のない選び方になる。これらの報道は、森保続投を消去法の結論として描いている。
絞られてきた後任候補
契約に期限が付いた以上、技術委員会の関心はすでに後任に移っている。報道が伝える方針は、日本人指導者を優先するというものだ。東スポWEBやフットボールチャンネルは、候補が数人に絞られてきたと報じている。その中で先行しているのが、現在U-21代表を率いる大岩剛監督(54)である。大岩監督は2018年に鹿島アントラーズでAFCチャンピオンズリーグを制し、AFC U-23アジアカップを2度、直近は2026年1月に連覇した。ほかに、Jリーグで実績のある長谷川健太、元日本代表MFの名波浩の名も挙がる。いずれも「有力候補」であって、決定ではない。同じ報道も、2030年のサイクルを見据えた候補の並びとして扱っており、確定した人事ではない。
協会内にある異論
短期の“つなぎ”に、協会の全員が納得しているわけではない。SmartFLASHは、退任がすでに決まっている人物にチームを託していいのか、という協会内の声を伝えている。引き継ぎまでには、年内のおよそ6試合にアジアカップを加えた計13試合ほどが並ぶ。この日程を短期政権に預けることへの疑問だ。サッカーライターの清水英斗はYahoo!の記事で、自身の引っかかりを契約年数そのものに置いた。一つの区切られた仕事のために残す監督に「1年契約」を結ぶ——そこが引っかかる、と書いている。対立の焦点は森保監督個人というより、計画の形にある。
7月23日に何が決まるか
これらは今後、強化部会、技術委員会、そして7月23日の理事会という手順を通る。その理事会で固まると見られるのは、狭いが実質的な点だ——契約が形式上「半年」なのか「1年」なのか、そして後任の枠組みである。いまはどの部分も——オファーも、候補のリストも、先行する大岩監督も——報道と内部情報の段階にあり、確定した就任ではない。それまで日本の読者が手元に置ける問いは、具体的なものになる。年内6試合とアジアカップの計13試合を、去ることが決まった監督に託していくのか、それとも次の人物にそのまま渡すのか。協会が答えを出すのは、7月23日だ。
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